目次

 [1] 幾何学的電気回路指南

     [2] 無限ラダーに隠された黄金比

     [3] 幾何学の難問に電気回路で挑戦  

[2] 無限ラダーに隠された黄金比

図5

黄金比というものを知っている人も多いのではないでしょうか。知らない人のために簡単に述べておきましょう。(黄金比についてここでは述べ切れないほど面白い話があるので、興味のある人は文献やインターネットで検索してみてください。)

簡単にいうと、長方形からその短辺を共通にする正方形を取り去って残った長方形が元の長方形と相似の場合、この長方形の縦横比を黄金比といいます(図5参照)。また、黄金比のことを外中比ともいいます(図5左側の定義がわかりやすいでしょう)。

黄金比というものを知っている人も多いのではないでしょうか。知らない人のために簡単に述べておきましょう。(黄金比についてここでは述べ切れない程面白い話があるので、興味のある人は文献やインターネットで検索してみてください。)

簡単にいうと、長方形からその短辺を共通にする正方形を取り去って残った長方形が元の長方形と相似の場合、この長方形の縦横比を黄金比といいます(図5参照)。また、黄金比のことを外中比ともいいます(図5左側の定義がわかりやすいでしょう)。

図5

図5の長方形こそ、今から述べる無限ラダーの図式解法になっているのです。この黄金比を持った長方形は身の回りにたくさんあります。例えばテレホンカード、名刺等。昔に遡れば、パルテノン神殿、ミロのビーナス、ピラミッドにも見受けられるのです。昔からこの比が均整のとれた形だとして、いろいろな美術品に採用されてきました。

図6

さて、無限ラダーに話を移してみましょう。無限ラダーとは、図6に示したように、抵抗が直列、並列、直列、並列.....と無限に続くものをいいます(ラダーとは、ladder=はしごのこと)。図中に示したように、漸化式を使って解析的に解くと全体の合成抵抗は黄金比になっているのです!!
でも解析的に解いてしまうと、もともと図形と関連の深い黄金比がなぜでてきたのか分かりません。そう、ここで抵抗回路を図形に変換してやることで、この問題は解決するのです。

ちなみに黄金比は幾何学と関係なさそうな分野でもでてきます。しかし、ここでやるように一見関係なさそうな分野が裏でつながっている可能性は十分あるので、黄金比がでてくれば、それが図形とつながっていて、幾何学的にその問題を説明できないかを考えてみると、新しい発見があるかもしれません。

ということで、無限ラダーの幾何学的解法を考えてみましょう。

図7が無限ラダーの図式表現である。証明したいのは、全体の合成抵抗、つまり図中のxが黄金比になることである。(傾きの逆数が抵抗値ということを思い出して下さい。) また、どの抵抗も1Ωなので、1個の抵抗に相当する図形は正方形である。
ここで大事なのは、抵抗は無限に同じ形で続くので、どの部分をとっても同じ形をしているということである。

図7
図7

図7が無限ラダーの図式表現である。証明したいのは、全体の合成抵抗、つまり図中のxが黄金比になることである。(傾きの逆数が抵抗値ということを思い出して下さい。) また、どの抵抗も1Ωなので、1個の抵抗に相当する図形は正方形である。
ここで大事なのは、抵抗は無限に同じ形で続くので、どの部分をとっても同じ形をしているということである。

図7の中で示した赤、青、黄の図形は相似になるし、このような相似の図形が無限に詰まっているのである。自己相似形の集まりということから、黄金比が出てくる雰囲気が出てきました。もちろんこの相似である事実からxを求めることは簡単に出来ます。が、四角形ABDEと四角形EFCDが相似であることが分かれば、一番最初に述べた黄金比の定義2そのものになっているため、計算なしでこの長方形は黄金比を持った長方形だと分かってしまうのである。

ここで以前述べた双対の話を思い起こしてもらいたい。無限ラダーは直列並列が交互に並んでいるため、上の話ではその直列並列の二つの抵抗をワンセットにしてその図形の相似性を述べた。しかし、この直列と並列というのは双対の概念で本質は同じである。
この双対の概念を図の上で全く同じにしようと思えば、座標自体(電流と電圧も双対の概念!)もひっくり返してやればよいことになる。つまり、抵抗が直列並列と入れ替わるごとに、相似な図形が縦横ひっくり返った形で出現するはずである。その相似な図形こそ、四角形ABDEと四角形EFCDなのである!! (少しかんがえてみよう!)